建設業許可の一般と特定の違いは?行政書士が徹底解説
建設業許可は、建設業を営む際に必須の許可で、建設業法の第3条で規定されています。建築一式工事を除き、請負代金が500万円未満や特定の軽微な建設工事は許可の例外とされます。許可を持たず適切でない建設工事を請け負うと、最大3年の懲役や300万円の罰金などの法的リスクがある。許可の選択に関しては、元請けとしての大型案件か下請けとしての案件かによって、特定建設業許可か一般建設業許可かが異なる。特に、元請けとして大きな案件を下請けに出す場合、特定建設業許可が必要になることを注意が必要です。建設業に関する法律や許可の選択には注意が必要であり、適切な許可を取得して事業を行うことを推奨します。
建設業許可とは何か?
建設業許可とは、建設業を営む際に取得しておく必要がある許可のことで、建設業に関するさまざまなルールが規定された建設業法の第3条によって定められています。基本的に、すべての建設会社はこの許可を必要としますが、以下のような特定の軽微な建設工事の場合は除外されます。
- 建築一式工事以外の工事で、1件の請負代金の額が500万円未満の工事
- 建築一式工事で、請負代金の額が1,500万円未満、もしくは延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅の工事
もしも建設業許可を取得せず、上記の例外に該当しない建設工事を請け負った場合、建設業法違反として「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」が科される可能性があります。さらに、その後5年間は新たな許可を取得することができなくなる重大な結果もあるため、十分な注意が必要です。
建設業法のリンク建設業許可を取得する際にはこの記事のポイントなる一般建設業と特定建設業があります。こちらについても詳しくご説明いたします。
一般許可と特定許可の違い
多くのお客様から「特定と一般、どちらの許可を取得すべきか?」という疑問をいただくことがあります。この疑問に対する答えを明確にするため、いくつかのポイントでお伝えいたします。
まず基本として、500万円以上の工事を請け負う場合(建築一式工事は除く)、一般または特定の建設業許可が必須です。ここで特に注意すべき点は、元請けとして請け負った工事を4500万円以上(建築一式工事の場合は7000万円以上)で下請けに出す場合に、特定建設業許可が求められるということです。しかしながら、この特定建設業許可が必要とされるのは、発注者から直接工事を請け負って、その工事を下請けに4500万円(建築工事の場合は7000万円)以上で出す場合だけです。
逆に言うと、お客様が下請けとしてのみ工事を受けているのであれば、特定建設業許可の取得は不要です。 したがって、下請けとしてのみ工事を行っている場合、一般建設業許可で十分です。この点を明確に理解していただき、最適な選択をしていただければと思います。
一般建設業許可 | 特定建設業許可 | |
元請として請け負った工事を自社で施工 | 制限なし | 制限なし |
元請として請け負った工事を下請に出す場合の工事代金 | 4500万円(建築工事業の場合は7000万円)以下。 | 4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上。 |
一般建設業許可と特定建設業許可の取得要件の違い
次は取得要件の違いについて紹介します。
下記の表をご覧ください。
取得要件の違い | ||
一般建設業許可 | 特定建設業許可 | |
専任技術者の要件 | ・定められた国家資格を持っている ・指定学科を卒業しており、学歴に応じた実務経験がある ・10年以上の実務経験がある 上記のいずれかに該当すること。 |
左記のいずれかに該当すること+2年以上の指導監督的実務経験がある |
財産要件 | ・法人の場合は直前決算において自己資本が500万円以上であること。 ・個人事業主の場合は500万円以上の残高又は借入ができる資金調達能力を証明できること | ①欠損の額が資本金の20%を超えないこと。 ※「欠損の額」とは、マイナスの繰越利益剰余金の額が、資本剰余金・利益準備金・任意積立金の、合計額を超えてしまった場合の、その超過した額のことをいいます。 ②流動比率(※)が75%以上であること。 ※「流動比率」=流動資産 ÷ 流動負債 × 100 ③資本金が2,000万円以上であること。 ④自己資本(※)の額が4,000万円以上であること。 ※「自己資本とは、貸借対照表の「純資産合計の額」のことをいう。 上記の①~④をすべて満たしていること |
静岡県の手引きによると指導監督的実務経験とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任又は工事現場監督者のような立場 で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
特定建設業許可を取得する場合は、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関し、2年以上の指導監督的な実務の経験が必要です。
特定建設業許可は元請けとして重い責任を問わるためこのように厳しい基準が設けられています。
特定建設業許可業者に課される制約と義務
建設業の許可を取得した事業者は、様々な義務が課せられます。これらの義務は、一般建設業者と特定建設業者とで異なります。
一般建設業者に課せられる義務
- 許可申請内容の変更があった場合、変更届を期限内に提出する。
- 標識を店舗や工事現場に掲示する。 請負契約の内容を記載した帳簿を5年間保存する。
- 元請業者は、完成図や打合せ記録などを10年間保存する。
- 請負契約締結に関する記載義務。 工事現場に主任技術者を配置する。
- 他の建設業者に請け負った建設工事を一括して請け負わせることの禁止。
- 下請負代金は1か月以内に支払う。
特定建設業者に追加で課せられる義務
- 4,500万円以上の工事を下請に出す場合、施工体制台帳を作成し、現場に置く。
- 全ての下請業者に法令順守指導を実施。違反時には通報までの義務。
- 下請代金は、引渡し申し出から50日以内、または発注者からの請負代金支払いから1か月以内のいずれか早い期日に支払う。
- 下請代金合計額が4500万円以上の工事で、監理技術者を工事現場に常駐させる。
これらの義務は、適切な建設業の運営を保障し、工事の品質と安全性を確保するためのものです。 違反すると重い罰則があるため、事業者はこれらの義務を適切に履行する必要があります。
一般建設業許可と特定建設業許可を両方取得することは出来るけど制限があり
一般と特定建設業許可の両方を取得することは可能です。但し、別業種の場合に限ります。例えばとび・土工で特定の許可を取得済みの場合は一般許可を取得することは出来ません(取得する必要もないですが、、)この場合にとびではなく内装仕上げ、解体、電気等のその他業種では特定を取ることが可能です。
まとめ|特定と一般のどちらの許可を取得すべきか迷っている事業者様へ
最後までご覧頂きありがとうございます。
特定と一般のどちらの取得すべきかという疑問を抱く事業者様も多いかと思います。
冒頭のおさらいになりますが、特定建設業許可が必要になるケースは元請けとして請け負った工事を4500万円以上(建築一式工事の場合は7000万円以上)で下請けに出す場合にのみです
逆に言うと、お客様が下請けとしてのみ工事を受けているのであれば、特定建設業許可の取得は不要です。 したがって、下請けとしてのみ工事を行っている場合、一般建設業許可で十分なのです。
また特定建設業許可を取得するのも難しいですが、5年の更新時に再度財産要件を証明しなくてはいけないので維持することも簡単ではありませんし、特定建設業独自の義務もあります。
判断に迷ったら経験豊富なあだち行政書士事務所にご相談下さい。
最後までご覧頂きありがとうございました。
あだち行政書士事務所
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